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化学の段階別学習法ゼロレベルから超トップレベルまで

化学の学習手順・ノウハウ

★このページではどういった手順で化学の学習を進めていけばよいか、全くのゼロレベルからトップレベルに至るまで段階別に詳細に解説しております。レベル順に第1段階から第5段階までありますが、どの学習段階まで習得する必要があるかは皆さんの志望校により変わってきます。たいていは第3〜4段階まで習得すれば十分なはずです。
ゼロレベル(あるいは基礎力に不安がある状態)から学習を開始される場合は、必ず第1段階から順番に飛ばすことなく実行していってください。焦らなくてもこの手順通りに学習を進めていけば必ず、かつ想像以上に早く成果が実感できるでしょう。
それでは、以下より各学習段階の解説をしていきますので、まずは通読してみてください。


★第1段階:導入書として講義型参考書を2回通読する

※既に以下の学力ラインを超えている場合はこの学習段階は省略可
河合全統記述模試または駿台全国判定模試:偏差値62.5  駿台全国模試:偏差値55

※導入書として講義型参考書を2回通読します。使い方としては、1回目は細部にこだわらず程々の理解で読み進めていき、化学の学習内容を大まかに把握します。2回目は重要語句を極力暗記していきかつ講義内容の確実な理解に努めます。
この学習段階の目的は受験化学で扱われている各項目を概観し、そのエッセンスを把握することです。この学習段階をこなしておくことで、第2段階以降の学習がよりスムーズに進められます。
使用する導入書としては、「岡野のはじめからていねいに(理論編・無機有機編)」がベストです。タイトル通りの親切丁寧な解説で、ゼロレベルから取り掛かっても十分に理解でき、教科書以上の役割を果たしてくれます。簡単な練習問題もついていますが、1回目の通読では自力で解いたり十分に理解しようとしなくても大丈夫です。
ちなみに教科書についてですが、物理とおなじで化学でも原則的に使用しません。物理ほど利用価値が無いわけではありませんが、重要ポイントが分かりづらく、初修の段階から使用しても学習効率が上がりません。


★第2段階:標準レベルの問題集(第3段階で使用)に入るまでの橋渡しとしての参考書(入試問題演習もある程度含まれているもの)をメイン教材として最低2周繰り返す

※既に以下の学力ラインを超えている場合はこの段階は省略可
河合全統記述模試または駿台全国判定模試:偏差値67.5  駿台全国模試:偏差値60

※大抵の私立大学・国立大学では原則的に標準的な難易度の網羅系問題集を一冊こなせば対策は完了しますが、初修の段階から使用するのでは、おそらく理解があまり進まず良い学習効果が得られないと思います。そこで第2段階の学習では、第3段階の網羅系問題集に取り掛かる前の準備として、橋渡しの役割を担ってくれる基礎力養成のための参考書を使用していきます。具体的なおすすめ教材としては、「鎌田の化学/理論化学」「福間の化学/無機化学」「鎌田の化学/有機化学」(旺文社)3部作がベスト(ほぼ一択状態)です。解説がとても詳しく、かつまとめ部分もしっかりしており理解を促進してくれます。問題部分については、1周目は初めから解答解説から熟読し、内容理解を最優先とします。2周目は自力で解答し、きちんと全問解けるようになるまで繰り返します。


★第3段階:入試標準レベルの網羅系問題集を1冊選んで最低2周繰り返し演習する

※既に以下の学力ラインを超えている場合はこの段階は省略可
河合全統記述模試または駿台全国判定模試:偏差値75  駿台全国模試:偏差値70

多くの医学部受験生にとってはこの段階が化学の学習のメインとなります。この学習段階で用いる問題集としては、「難しすぎず」「網羅性がある」ことが絶対条件となります。市販の問題集でこの条件を満たすものは結構ありますが、その中でも群を抜いているのが「化学T・Uの新標準演習(卜部吉庸著・三省堂)」です。学校指定の教材があるということでなければ、第3段階のメイン教材として迷わずこの問題集を選択しましょう。「化学T・Uの新演習」の標準レベル版として近年出版された新問題集ですが、正直な話この教材の登場により、これまで定番とされてきた標準レベル問題集の殆どがお役御免となった感があります。
標準レベルの入試問題を完全に網羅しており、加えて各単元の冒頭部に基本事項が分かり易くまとめてあります。網羅性が抜群ですので問題数は359題と結構な量になっているのですが、頑張ってやり遂げることで相当高い学力レベルに到達できます。これをすべての問題を理解し解けるようになるまで最低2周以上繰り返し演習していきます。
旧帝大・一部の単科医科大を志望する受験生でなければ第4段階以降の学習は必ずしも必要とならないため、この段階の学習+過去問演習をもって化学の学習を終えてもよいでしょう。


★第4段階:【化学TUの新演習】をメイン教材として演習を行っていき、最低2周する

※この学習段階は原則的に第3段階までの学習を終えた受験生のみが対象となります。受験化学においていかなる問題にも対応できるようなトップレベルの学力を身につけることがここでの目的となります。この段階のメイン教材としては、「化学T・Uの新演習」1択となります。現在の市販の問題集で、網羅性・クオリティ両面でこの問題集の右に出るものはありません。収録問題の多くは東大の問題形式とは若干異なるため、理科三類対策としては万全とまではいかないかもしれませんが、それ以外の点では最高のクオリティを誇る問題集といえます。特に京大医・阪大医・単科医対策としては極めて相性が良く、これらの大学を志望する受験生の必携の書となります。ただし、300問という膨大な問題数でため、全ての問題を通して解答解説が充実しているとは言い難く、自学自習のみでは消化不良となる可能性もあります。したがって有能な指導者が身近にいたほうが学習効率が良いと思います。
この「新演習」を2周以上繰り返し演習していきます。通常のペース(1日5問)では1周当たり2ヶ月ほど要するため、しっかり他の科目との兼ね合いも考えつつしっかり計画立てて演習を進めていかないと入試までに学習を終えることができませんので注意してください。


★第5段階:理三志望者は東大模試過去問・京大医志望者は京大模試過去問をひたすら解いていく。また、必要に応じ大学化学の内容(有機電子論など)も吸収していく。

※大学化学を扱った教材は読者に分かり易くという切り口で作られてはおりませんので、独学で学習しないほうが賢明です。予備校の授業を通して学習していくのが最適でしょう。駿台最上位クラスの授業テキストなどでこのようなハイレベルな学習内容を扱っています。単科授業や夏期講習も行っているかは定かではないので、外部生でも気軽に受講できるかどうかは分かりません。各自直接お問い合わせください。


※以上の5段階で化学の学習は終了です。第5段階までこなす余裕は1年間の学習期間ではおそらくないと思われます。第4段階まででも京大医・阪大医に十分手が届きます大抵の国立・私立大の対策としては第3段階までをしっかり学習すれば万全な状態となるので焦る必要はありません。決してオーバーワークとならないように、皆さんの志望校合格の為にどこまでのレベル(学習段階)が要求されるのか、【大学別傾向対策】のページをご参照のうえ把握しておいて下さい。