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日常学習についてのアドバイス数学の学習サイクルを確立するために

数学の効率的な学習サイクルの実践法

★数学は医学部受験における最重要科目であることに違いはありませんが、受験科目は数学だけではないため、なるべく効率的に学習を進めていく必要があります。非効率的な学習により他の科目の勉強時間が削られるようなことになれば本末転倒です。
このページでは、数学の日頃の学習サイクルをどのように確立させればよいか、現役生(高校生)・予備校生(浪人・多浪生)・宅浪生(再受験生)に分けてアドバイスさせていただきます。それぞれの状況に応じて、該当する部分のみご参照ください。

◆現役生(高校生)向け学習アドバイス

★アドバイス1:進学校であれば原則的に高校の授業⇒自宅復習という学習サイクルを繰り返し実行していけばよい

※私が考えるところの高校(進学校)の授業の意義は、第2段階までの学習内容を着実に習得することであり、入試問題を解くのに必要な解法的テクニック・定石を網羅的に学び、以降の応用問題・実戦問題の演習を自力で行えるようにするための「土台」を作ることにあると考えます。したがって「これらの手法をこの手順で使えば問題が解ける」というような指導法はこの学習段階の目的によく合っており、問題解説に終始する授業形式は理想的といえます。予習は予備知識が無い段階では厳しいものがあるのであまり重要視しなくても問題ありません。その代わりしっかりと日頃の授業を聞き内容の理解に努め、その後の自宅での復習もきちんと実行します。そのサイクルを繰り返していくことで標準レベルの入試問題を解く力が自然と身に付きます。

★アドバイス2:定期考査については点数のみに捉われるのではなく、受験を視野に学習のペースメーカーとして位置づけすること

※医学部に現役合格しようと考えるならば、普段の数学の学習も大学合格に役立つかどうかという視点で考えるべきです。学習のペースメーカーとしての定期考査もただ目の前に立ちはだかる壁としてではなく、もう少し長期的な視点で・大学受験への通過ポイントとして捉える必要があります。ですから問題の解答を直前に丸暗記して付け焼刃の状態で試験に臨むということなどは、たとえそれで得点が出ようとも全く無駄な時間を費やしたことにしかなりません。定期考査では成績は今一つであるが模試になれば全国上位をたたき出すような学生はしばしば見られますが、このような学生は出題範囲が完全に決まっている定期考査に解答暗記をしてまで全力を注ぐことの不毛さを良く理解しているのです。数学の学習をどのように進めていけばよいかは「数学の段階別学習法」の項目に詳述しておりますので、そこを参照していただくとして、とにかく定期考査の点数だけに捉われて学習のペースを乱されないように気を付けてください。


◆予備校生(浪人・多浪生)向け学習アドバイス

★アドバイス1:予備校の数学の授業そのものはあまり有意義ではない。学力UPの原動力は予習と復習の過程である。

※高校の授業は原則的に第2段階までの学習内容が扱われるため、解法的テクニック・定石を一方的に解説する授業形式で良いのです。高校生はしっかりと日頃の授業を聞き、その後の復習に力を入れることで理想的な学習サイクルが出来上がります。
しかし、予備校の授業は少し状況が異なります。予備校の最上位またはそれに準ずるクラスでは原則的に第2段階までの学習がしっかりと身についているという前提のもと、第3・4段階の学習内容を習得することを目的に授業が展開されます。したがって「段階別学習法」の項目で説明したことと照らし合わせると、テキストの予習をしっかりと行い、解けるならそれで良し・解けないなら疑問点を明確にしたうえで授業に臨むようにしないと完全に受け身の学習に陥ってしまい、それ以上の学力アップは絶対に望めません。
また、予備校の授業それ自体も、第3段階以降の学習の基本スタイルから考えるとそこまで必要なものとは思えません。なぜなら予備校の授業というものは「数学を体系的に全て理解できている教育者」による、その人の「思考過程」の提示であるということがその本質であるからです。重要なことは、その問題を解けるようになるために自分自身で思考パターンをリニューアルすることであり、それが仮に授業を聞くことで可能になるとすれば、紙面上の解説を通しても十分に可能なはずです。
優秀な予備校講師であれば、問題を解く「思考過程」をとても鮮やかに解説してくれますが、それでもそれを聴く個々の受験生の脳内の思考パターンにきちんと影響を与えられたかどうかまでは疑わしい限りです。
すなわち、自分自身の脳内・数学世界の中で個々の課題を克服しないと意味がなく、そこに他人が入り込んでメンテナンスするには限度があるのです。
特に浪人生の方が陥りやすい状況ですが、予備校の特定の講師の「信者」となり、夏期講習・単科講習を含めその講師のありとあらゆる授業を受講するというケースがあります。しかし上でも述べましたが、問題を解く為の思考過程を優秀な講師を介して理解する事と、それを完全に自分のものとして使いこなすことは全く別の話です。後者は自分自身で問題を考えて解くことでしか絶対に身につかないことを肝に銘じておいて下さい。

★アドバイス2:既に出来る問題を10問確認するより、現在解らない問題を1問克服するほうが実力アップにつながる。

※第3段階以降のレベルにおいては、かなりの数の入試問題が解けるようになっているかと思います。このようなレベルの受験生が陥りやすい間違った学習法に、勉強が単なる確認作業になってしまうというものがあります。第2段階までの学習内容を着実に習得していれば、急に解法テクニック・定石自体を忘れるなどということは絶対にありません。一方でそのような定石問題の確認みたいなことをいつまでも続けていると、思考力を強化するような問題演習がおろそかとなり、実力維持は出来てもそれ以上の学力アップは期待できません。あくまで「課題への挑戦」を続けていく事が受験勉強の王道です。

◆宅浪生(再受験生)向けアドバイス

★アドバイス1:模試を定期的に必ず受験し、学習のペースメーカーとする

宅浪生は一見すると純粋に勉強だけに集中できて、受験に理想的な環境にいるように思われますが、そこにはいくつかの障害・落とし穴が潜んでいます。その代表例が、【外部から孤立しやすい】ということです。日常学習のあらゆることが自己完結型となり、その結果「模試はわざわざ受けなくても大丈夫」などと考えるように、あるいは模試を受験して自信を喪失することに対し恐怖心を感じるようになります。これが負のスパイラルへの入り口となります。
それを未然に防ぐために受験年度の一番初めに、自分自身に「模試は絶対に通年で受験していく」と誓いを立てましょう。そしてそれを忠実に守るためにも、各模試の受験申し込みが始まったらすぐに先立って申し込んでしまいましょう。いったん受験料を払ってしまったらさすがに敵前逃亡はしづらいはずなので。
模試は受験勉強のペースメーカーとして極めて優秀な役割を果たしてくれます。模試に向けて、それまでに出題範囲の学習を終わらせようと最大限の努力をするようになりますし、この「タイムリミット」の存在が学習効果を上げる最も簡単な方法の一つなのです。

★アドバイス2:数学の勉強にはまりすぎないようにする

受験スタイルとして宅浪を選択するような受験生(再受験生は除きます)に非常に多く見られるケースなのですが、元々数学が非常に好きで、かつ極めて得意であるためにその学習(極めて高度な内容)にハマってしまい、他の科目の学習が完全におろそかになる人が結構います。大抵模擬試験だけはきちんと受け結果も出すのですが、その学習バランスの悪さが災いしてセンター試験などで思わぬ失敗・最終的に不合格となってしまうことがしばしばあります。1日の数学の学習時間は最低2時間、多くても4時間が目安です。他の科目(少なくとも英語と理科)の学習時間もしっかり確保しておきましょう。