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答案の書き方と解答戦略合格答案・より良い答案の作成法

合格答案・点の取れる答案を書くための重要ポイント

★当たり前のことですが、入試ではただ問題が解ければよいわけではありません。正答そのもの、あるいはそれに至るまでの過程を解答用紙に記しておく必要があります。入試において採点者はあなたの顔やあなたがどのような人物であるかは全く分かりません。答案に書かれたことのみに従ってあなたの学力・現時点でその大学で学ぶに値するかを判定します。すなわち、【答案】とはお互い顔を合わせたこともないあなたと採点者をつなぐ唯一のコミュニケーションの手段ということもできるのです。したがって答案作成を雑に行うということは、たとえ純粋な学力が高いとしても、それが正確に採点者に伝わらないという事態を招き、合格を危うくすることにつながります。
ここでは結論までの思考過程が正確に伝わる、いわゆる【合格答案】を作成するための重要ポイント、および難問などで結論まで至らなかった場合でも少しでも得点が得られるようにするための方法について解説していきます。

●まずは、【大学入試数学の答案が満たすべき最低条件】について説明いたします。以下の要点を見てください。

【入試答案が満たすべき最低条件】数学の答案は問題設定から結論までを結ぶ必要最低限の数式・その数式の意味するところの簡単な説明・数式間の因果関係の説明があれば十分である

大学入試(あるいは模試)の答案には、結論に至るために必要な数式は当然のこととして、それぞれの数式が何を表すものであるか、きちんとした言葉での説明が不可欠です。具体的には「曲線y=f(x)と曲線y=g(x)とで囲まれる面積をSとすると、S=・・・」などと、これから書く数式が実際に何を意味するものであるのか、採点官に伝えなければその数式は単なる文字の羅列となってしまいます。
そうは言っても、何も上手な表現で答案を埋める必要は全くありません。きちんと通じる日本語を用いて答案全体の論理を乱さない程度に式の説明が述べられていれば大丈夫です。
あと一点、重要なことは、数式と数式の間を「よって」「なぜなら」といった言葉で因果関係が明確となるように結びつけておくことです。この因果関係の明示の無い答案は全体的な方向性の分からない無効なものとみなされることさえあります。
以上、数学の答案が満たすべき必要最低限の要件について述べましたが、実際に書いてみるという経験なくして突然できるようになるわけはありません。ではどうすれば上手な答案を書けるようになるのでしょうか。簡単に実行できる方法を説明いたしましょう。

★数学の合格答案を書けるようにするための最短最良の方法は、模範解答の丸写しを行って要領を把握することである

「理解しやすい数学」や「青チャートの模範解答」の模範解答は過不足のない、極めて要点のまとまった理想的なものです。これを丸写しして次にその通りの再現答案を作るという過程をせいぜい数問分実行すれば、大体の要領は把握できると思います。そして今度は初見の問題についても、普通に問題を考察するという過程を当然含めて、解答の方は以前見た他の問題の「模範解答」のように書いていけばよいのです。
ただ、ここで紹介した合格答案作成方法について注意点が一つあります。それは「1対1対応の演習」などの「東京出版」の教材を用いてこの方法を実行することは避けた方が賢明であるということです。「東京出版」系の教材はいずれも解答が簡素化されすぎであり(もちろん満点答案ではありますが)、この解答を真似するという方法では、実際に何を書くべきで何を削ってよいか初修の段階では正しく把握できないと思われます。


◆少しでも点が多くとれる答案の書き方

ここからは実際の入試・模試の場面で少しでも点を多く取る為に有効となる答案作成テクニックをいくつか紹介いたします。これらのテクニックは主に難問や時間切れなどで結論まで到達できなかった場合に応急処置であっても確実に幾分か部分点がもらえるようにするためのもので、身につけているのといないのでは明らかに総得点に差が生じてきます。是非とも習得の上、実際の試験の場では当たり前のように使える状態にしておかなければなりません。それでは1つ1つ解説してまいります。

★テクニック1:残り時間がない場合は全体的な解答の方針のみしっかりと書いておく

残り時間があと数分しかないところで、大問(小問)があと1題残っているという状況を想定します。とても計算している暇などは無いが、解答の全体的な方向性だけは分かるという状況はしばしば起こりうるものです。そのような場合、大抵の受験生は時間切れを承知で初めから計算処理をタイムリミットまでひたすら進めていくという方針を取るようです。しかしこれは賢い戦略とはいえません。いずれにせよ時間切れになり、不完全な答案になるのですから、このような方針だと書いた部分までの点数しか得られず、それ以降の部分で当該の問題について本質的に理解していたという証拠は一切残りませんので更なる部分点は一切望めません。
そこで「題意の等式を数学的帰納法により示す。まず、k=1のとき〜より題の等式は示された。次にn=kにおいて題意の等式の成立を仮定すると、n=k+1のとき、〜」というような解答の全の流れ、すなわち骨格のみをしっかりと書いておくことで、「解答する時間は無かったけれども解答に至るための方針に関してはきちんと理解出来ています」というアピールをすることをお勧めいたします。入試のルールに則って答案を通して採点者に対し自己主張をするというわけです。大学の採点方針にもよりますが、予想以上の部分点がもらえることも実際にあります。時間が迫っていても最後まであきらめずに出来うる限りの手を尽くすことが重要です。

★テクニック2:受験生間で差がつかない難問では問題の設定を数式化あるいは図示しておくだけでかなりの部分点がもらえることが多々ある

このテクニックは知らないと1年を棒に振ることすらある超重要テクニックといえます。入試問題の中には殆どの受験生にとって解答の方針すら想像も付かないほどの難問がしばしば見受けられます。そのような場合、実際の答案はほとんどが白紙状態となっているため、採点担当者は何かしら記述がしてある少数の答案に対し、何とか部分点を与えようと努めるそうです。平均点が30点満点中0点というような問題だと何かと「お叱り」があるからです。しかし無意味な数式の羅列に対して点数は与えられませんので、「応急処置」として【問題文の設定について的確に数式化してある答案】および【問題文の設定を忠実に図示してある答案】に対し積極的に大きな部分点を与えるという措置を取ります。
したがって受験生側からすれば、難問こそある意味チャンスでもあり、問題文の設定の数式化あるいは図示だけをしっかりと答案に明記したうえで、あとは残りの時間を他の問題の解答に充てるという戦略をとることにより点数を効率的に最大限に取ることが出来るということになります。
難問に遭遇したら【捨て問】と認識してまともに取り合わないようにすべきであることはいうまでもありませんが、それでも白紙状態で答案提出するようでは戦略不足と言わざるを得ません。ここでも「点数を取る」為のあらゆる策を講じることが必要になってきます。