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おすすめの参考書・問題集プラン学習効果の高い教材をご紹介

各学習段階の理想的な参考書・問題集プラン

★ここでは前事項の「段階別学習法」で解説したことに関連して、各学習段階においてどの参考書・問題集をメイン教材として用いるのが最適であるか、また具体的にどのような使い方をするのが理想的であるか、さらに習得にはどれくらいの期間を要するかといった学習プランの提案も含めて具体的な説明をしていきます。
基本的なコンセプトとして、「定番問題集」すなわち多くの受験生に使用されている問題集のうち、実際に学習効果が極めて高いと確認されたものに絞って紹介しております。それに加え、あまり有名ではないけれども優れた参考書・問題集についても積極的に勧めております。
それでは以下のおすすめプランをご検討の上、あなたに合ったベスト教材を揃えましょう。


★第1段階のおすすめプラン(以下の@Aのいずれかを選択)
@青チャート(基本例題)  ←到達点はこちらが上
A
高校これでわかる数学T+A・U+B・V+C ←初修者用

+理解の補助として
「はじめからていねいに」(全7分冊・数UB分野まで)


@「青チャート」を使って学習を進めていくのが過去も現在も医学部受験の王道です。例題の解説を【読んで理解出来る】といった「暗記数学実践のための最低要件」さえ満たしているということであれば、青チャートを第1段階のメイン教材として使用されることをおすすめいたします。青チャートを教材として選択した場合、第1段階の学習だけでなく第2段階まで継続して使用できます。第1段階では【基本例題】とその直下の練習問題のみが対象となります。これらを全分野通して解いていきます。もし新規で購入される場合は、「改訂版」ではなく【新課程版】を買いましょう。この【新課程版】には従来の基本・重要例題に加え、より大学入試に即した“演習例題”が扱われており、第2段階の学習においてさらに充実した役割を果たすようになりました。
また青チャートが難しく感じる場合や、全くゼロから学習を始められる方向けに当サイトがお勧めする導入書兼問題集として、A【基礎からのシグマベスト・高校これでわかる数学T+A・U+B・V+C】をご紹介します。この教材は基礎レベルの問題にのみ焦点を絞ることでコンパクトな導入書として明確なコンセプトを打ち出しております。見出しやまとめといった編集に工夫が凝らされており、解説も極めて読みやすく分かり易いです。まさに基礎レベル事項の習得という第1段階の学習の目的に最も適った教材と言えます。
@Aいずれを選択するにせよ、全分野を通して2周回演習していきます。
苦手な分野や分かりにくい分野については理解補助用として「はじめからていねいに(分野別)」を必要に応じ併用するとよいでしょう。
第1段階の学習に要する期間の目安について見積もってみましょう。
【青チャート(改訂版)】を用いる場合ですが、1ページをこなすのに、すなわち例題の解説の理解と直下の練習問題を自力で解くこと1セットをこなすのに平均30分かかると想定され(15分で終わるセットもありますが、40分程かかる重いセットもあり、平均で30分位と概算しました)、数TA〜VC全部で620セット(TA:179セット・UB:246セット・VC:195セット)ありますので、1周するのに620×30(分)=310(時間)必要ということになります。1日4時間の学習で1周するのに2ヵ月半を要します(【新課程版】でも問題数とその内容はあまり変わらないため、同じくらいの期間と見積もってよいでしょう)。すなわち個人差はありますが、第1段階の学習には平均して4〜5ヶ月の期間が必要ということになります。以降の学習段階へのしっかりした土台を形成するためにも、ここで先を急ぎ焦ってはいけません。全分野にわたり着実に基礎力が身につけられるようこの学習段階で堅実に努力を積み重ねましょう。


★第2段階のおすすめプラン(以下の@Aのいずれかを選択)

@青チャート(重要例題)
A1対1対応の演習  
←第2段階から学習を開始する場合など

第1段階の学習で青チャートを使用した場合は、引き続き第2段階でもメイン教材として使用していきます。第2段階では重要例題とその直下の練習問題を解いていきます。

また、第1段階で青チャートを使用しなかった場合や第2段階から学習を始めるといった場合は、当サイトでは第2段階で用いるメイン教材として、【1対1対応の演習】を使用されることを推奨いたします。この問題集は極めてコンパクトに典型問題の解法テクニック・定石を網羅的にまとめてあり、持ち運びに便利で日常学習に相性が良いです。また、整数問題といった入試には頻出であるが青チャートでは重点的に扱われていない分野についてもしっかり取り挙げられているため、全冊仕上げたときの到達点は相当なものといえます。
問題数は数T〜数Cまでの全6冊合わせて例題400題・練習問題400題の計800題であり、定石を完全習得するための教材として十分すぎるほどの網羅性・分量です。
1周目については、1ページに収まっている例題とその直下の練習問題のセットをこなすのに40分要するとして、【全400セット×40(分)=16000(分)=266時間】もの時間を要します。1日3時間の学習で3ヶ月・4時間の学習で2ヶ月強で終了します。2周目は半分くらいの時間でこなせるので、この教材を用いての学習プランの場合、第2段階の学習に費やすべき期間の目安として、4〜5ヶ月は確保しておきましょう。

青チャートを引き続き用いる場合、1セットをこなすのに平均40分かかるとして、重要例題セット(重要例題+直下の練習問題)は全部で198セット(TA:58セット・UB:72セット・VC:68セット)ありますので、1周するのに198×40=(132時間)必要ということになります。1日4時間の学習で1ヵ月ほどで1周できます(【1対1対応の演習】の半分の期間ですね)。要するに第2段階の学習は2ヵ月ほどに短縮されます。まあその分第1段階の学習に時間がかかる(基本例題は重要例題の3倍以上の分量)わけですから、結局プラマイゼロといったところでしょうか。
いずれにせよ、第2段階までの学習内容で、多くの国立大学医学部・および慶應医以外の全ての私立大学医学部において合格点を取ることが出来ます。したがって焦らずに着実にこの学習段階をこなしていってください。


★第3段階のおすすめプラン(以下から1つを選択)


@やさしい理系数学  ←難関大志望者向け
Aじっくり考えてたくさん解く本格問題集(TAUB編とVC編)
B理系数学入試の核心・標準編(Z会出版)  
←@Aより易しめ
C理系数学の良問プラチカ(TA・UB編とVC編)


※この学習段階は応用問題を中心に演習を行っていきます。
【やさしい理系数学】はこれまで多くの国立医学部受験生がメイン教材として用い、またその結果合格を勝ち取ってきた、名実ともに信頼性のある問題集です。本の題名と違い全体的な内容は標準〜やや難と決して簡単ではありません。問題数は全部で180題(例題50題・練習問題130題)ですが、例題はいずれも大問2〜3題分のボリュームで、十分な演習量が積めることと思います。第2段階までの学習内容をしっかりと習得しているならば、迷わずこの問題集をメインに学習を進めて失敗はありません。
【じっくり考えてたくさん解く本格問題集(長岡亮介著)】は題名通り問題数が多く抜群の網羅性を実現した問題集です。難易度についてもやや易〜やや難レベルと揃っており、これほど対象レベルが幅広い問題集も中々無いと思います(第2段階の学習内容も多く含んでおります)。一つ納得できない点があるとすれば本の題名や宣伝文句の件でしょうか(センスの問題ではありません)。この書名や前書きで述べられている事からはいかにも【難問演習書】であるような印象を受けますが、実際には問題の多くは標準的な難度であり、そのため実戦的問題や難問に数多く当たりたいと望んでいる最上位レベルの受験生の場合、その内容に拍子抜けするかもしれません。すなわちこの問題集は題名に反して敷居が高過ぎないお手頃な問題集なのです。【やさしい理解数学】の逆バージョンといえます。このように言うと批判しているように感じるかもしれませんが、第3段階のメイン教材としては私は極めて高く評価しております。到達点に関しては【やさしい理系数学】と遜色ありませんので、書店で確認の上使いやすい方をご選択下さい。
「理系数学入試の核心・標準編」は「やさ理」よりは若干難易度は易しめですが、入試標準問題はしっかりと網羅しており、解答のポイントを見やすくまとめてあるなど、使いやすい構成となっております。
「理系数学の良問プラチカ」はTA・UB編とVC編の二分冊となっています。第3段階のメイン教材の候補の一角ではありますが、TA・UB編は一問一問が比較的軽くこの段階の到達目標に対しては若干不足気味かもしれません。それとは対照的に数VC編はこの学習段階としては若干難しめではありますが、取り組む価値は大いにあります。
第3段階の学習に要する期間について「やさしい理系数学」を使用する場合で説明いたします。
やさしい理系数学は例題50題と練習問題130題から成り、重要な定石(やや程度が高いものも含む)をまとめた例題は各問極めてボリュームがあり、1題こなすのに平均1時間くらいはかかるでしょう。一方で練習問題は解説の吟味を加味しても1題あたり45分程で習得できると思います。したがって、1周目の学習は【例題50題×60分+練習問題130題×45分=8850分=147時間】1日3時間の学習ペースで2周回すのに3ヶ月程を要するということになります。


★第4段階のおすすめプラン(志望校に応じて必要なものを選択)

@新数学演習(東京出版)  ←東大理三・京大医向け  
Aハイレベル理系数学   
←阪大医・単科医大向け

B東京大学への数学(駿台文庫)
C東京大学数学(河合出版)
D京都大学への数学(駿台文庫)
E京都大学数学(河合出版)

※この学習段階ともなれば、汎用性の高い定石に出会う機会は少なくなります。むしろ、思考プロセスを鍛えることを目的として実戦問題をこなしていくことが重要な課題となります。したがってメイン教材に必須の要件は「解説の分かり易さ」ではなく「演習価値の高い実戦問題を数多く掲載している」ということになります。極端な話、解説など不要で答えの数値だけ載せておいてくれれば十分なくらいです。
まずメイン教材候補の筆頭として、【新数学演習】が挙げられます。この問題集は長年東大理三・京大医志望者の定番演習書としての地位を堅持してきたもので、リニューアルはあまり行われていないにもかかわらず現時点においてもやはりその演習効果は変わりありません。
もう一つのメイン教材候補としては【ハイレベル理系数学】があります。これは「やさしい理系数学の」1ランク上”の問題集という名目ではありますが、“やさ理”の学習の延長として使用する問題集ではないので注意が必要です。というのも、この問題集はいわゆる過去に採りあげられることが多かった程度の高い問題、すなわち「有名難問」を主に扱ったものであるからです。したがって、新作問題を次々と出題する東大理三や京大医学部を志望する受験生にとってはあまり恩恵が得られないかと思います。
この問題集が奨められるのは、高等定石を用いる問題が頻出する単科医科大あるいは阪大医志望者です。単科医科大を第一志望とする受験生であれば、“第4段階”の学習のメイン本として使用することで強力な学習効果が得られます。
また東大理科三類・京大医を志望する受験生はそれぞれ東大模試・京大模試で結果(B判定以上)を出すことが求められますので、模試の過去問集(B〜E)を用いて実戦的演習を行っておく必要があります。


★第5段階のおすすめプラン(必要に応じて以下から選択)

@解法の探求・微積分(東京出版)
A解法の探求・確率(東京出版)
B東大の理系数学・25カ年
C京大の理系数学・25カ年


※この学習段階の重要課題の一つは、必要に応じて分野別に徹底的な補強を行っていくことです。その目的には東京出版の分野別ハイレベル演習書が最適です。
その中でも自信をもってお勧めできる教材が、【解法の探求・微積分】です。実戦的な演習問題を網羅しているだけでなく、理解の浅さを思い知らされるような教育的な良問、さらに原理についての厳密な理論体系の解説も扱っており、まさに受験数学の最終段階のテキストとして十分な役割を果たしてくれます。
【解法の探求・確率】についても全く同様のコンセプトであり、確率が頻出の東大・京大志望者には是非とも挑戦して頂きたい良書です。
さらに余力があれば、今度は分野にこだわらず難問にじっくり取り組んでいくという学習を実行していきましょう。材料としては東大・京大の過去問(特に2000年以前)が理想的です。【東大の理系数学・25カ年】【京大の理系数学・25カ年】を取り揃え、難易度CランクまたはDランクの問題に絞って、時間無制限でじっくり挑んでいきます。

※以上の【おすすめの参考書・問題集プラン】をメインに、さらに【市販の参考書・問題集レビュー】のページで紹介しておりますその他の教材も参考にして、あなたに最適な教材を取り揃えましょう。