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市販の参考書・問題集レビュー数学参考書・問題集の講評

市販の参考書と問題集の評価と具体的活用法

★「おすすめの参考書・問題集プラン」で紹介させていただいた教材に加えて、それ以外の市販の参考書・問題集についても講評を行い、用途や目安となる学力レベルも添えて紹介していきます。もし使ってみたい教材がありましたら、実際に書店でご確認の上ご購入ください。

★導入書・理解補助用教材・基本問題演習(簡単なものから順に)

●基礎からのシグマベスト/これでわかる数学T+A・U+B・V+C(文英堂)
図やイラストを多用しており、分かりやすさ(自学自習のしやすさ)という観点から言えば、この参考書に並ぶものはありません。ただ、扱っている問題の方もその分基礎的なものとなっています。したがって、全くのゼロレベルから学習に取り掛かる方向けの第1段階の学習教材としてお勧めいたします。

●白チャート(数研出版)
分かりやすさは「これでわかる」に次いで抜群です。この問題集をこなすことによる到達点も決して侮れず、第1段階の学習の教材としては十分です。これも全くの初修から始める場合に購入を検討してみましょう。

●黄チャート(数研出版)
青チャートよりも問題レベルは控えめで、その分初学者にも多少使いやすくなってはいます。しかし、チャートシリーズの持つ欠点の数々(主に解説が親切とは言えない点や分量過多な点)が改善されているわけではないため、わざわざこの教材をチョイスするメリットはあまり無いと思います。

●シグマベスト理解しやすい数学(文英堂)
第1段階から第2段階まで通して使用できる参考書兼問題集として青チャートと同等以上にお勧めできます。それならばなぜ【おすすめの参考書・問題集プラン】のページにて紹介していないのかというと、新課程版になってからさらに質・ボリューム両面でグレードアップし、対象レベルが広がり過ぎたからです。現在この教材は青チャートを超える「一冊完結型」総合演習書へと変貌を遂げました。解説の分かり易さについても合格点で素晴らしい教材ではあるのですが、基本問題から難問までが満遍なく収まっている教材というものは凡そ学習者にかなりの精神的負担を強いるものです。なかなかページが進まないと気が焦り学習効率も下がります。やはり使用対象レベルはある程度絞られている方が教材としては使いやすいと思います。

●青チャート(数研出版)
多くの受験生が所有しています。もし新規で購入される場合は、“改訂版”ではなく“新課程版”を買いましょう。この“新課程版”には従来の基本・重要例題に加え、より大学入試に即した“演習例題”が扱われており、用途がさらに広がりました。
収録されている問題は易しい計算問題から本格的な入試問題まで揃っており、網羅性は申し分無し、第1段階の学習だけでなく第2段階まで継続して使用していく教材です。この問題集を用いて受験数学に取り組んでいく事が医学部(東大・京大)受験の王道であるため、出来ればこの教材を用いて学習するのが理想です。対象レベルが広いため初めは面食らうかもしれませんが、「解説を読んで理解できる」すなわち例題の解説を読んだ後、その直下の練習問題を【自力で解くことが出来る】ようであれば、学習をスムーズに進めていけると思います。第1段階では基本問題とその直下の練習問題のみが対象となり、第2段階に進んだら今度は重要例題とその直下の練習問題を解いていきます。場合によっては単元ごとにこれらを同時進行で実行していっても構いません。

★ハイレベル教科書・参照用教材(必要に応じてご購入下さい)

●受験数学の理論(駿台文庫)
各分野に分けて出版されています。タイトル通り受験数学を本質から理解しようというコンセプトで書かれていますので、内容は当然ハイレベルです。しかし、第2段階までの学習を終えた時点で読んでみると十分に理解でき、かつ得るものも極めて大きいでしょう。ただ、受験勉強の時間にも限りがありますから、興味がある分野・補強したい分野に絞って読んでいくとよいでしょう。
個人的なおすすめ単元は「1.数と式」と「5.ベクトル」です。この2冊は秀逸です。

●総合的研究・数学TA(旺文社・長岡亮介著)
数学TAの内容のみでここまで深く掘り下げているという点は素晴らしいと思います。現在のところ、数学TA分野しか出版されていないと把握しております。続編も大いに期待されます。

●本質の研究TA・UB・VC(旺文社)
数学TA・UB・VCそれぞれについて、数学の本質的な理解をコンセプトに基礎からハイレベルな内容まで網羅しています。当然初修の段階から用いるべき教材ではありません。


★解法テクニック・定石習得用教材(第2段階用教材)

●1対1対応の演習(東京出版)
極めてコンパクトかつ網羅的に大学受験で頻出の典型問題を扱っている本サイト一押しの問題集です。第2段階での学習のメイン本として極めて優れています青チャートを第1段階で使用しなかった場合、あるいは第2段階から学習を開始する場合は積極的にこちらを使用していくと良いでしょう(既に青チャートを用いて学習されている場合は無理して購入する必要はありません)。全ての問題をこなすことで相当な実力がつきます。ただし、解答が非常に簡潔で懇切丁寧とは言えないため、数学に苦手意識がなある方は完全独学で習得するのは難しいかもしれません。

●数学標準問題精講(旺文社)
青チャートとコンセプトが同じであり、問題も似ています。感覚的には、青チャートから超基本問題や単純計算問題問題を削ぎ落として、重要例題レベルをメインに取り上げた感じです。したがって青チャートよりもかなりコンパクトにまとまっており、使い勝手がいいです。第1段階の学習で青チャート以外を使用され、かつその内容をしっかりと習得された方であれば、第2段階の学習のメイン教材として用いる価値は十分にあります。


★入試標準レベル問題集(第3段階用教材)

●やさしい理系数学(河合出版)

当サイトにおける最重要指定問題集の一つ。これまで多くの国立医学部受験生がメイン教材として用い、またその結果合格を勝ち取ってきた、名実ともに信頼性のある問題集です。本の題名と違い全体的な内容は標準〜やや難と決して簡単ではありません。問題数は全部で180題(例題50題・練習問題130題)ですが、例題はいずれも大問2〜3題分のボリュームで、十分な演習量が積めることと思います。第2段階までの学習内容をしっかりと習得しているならば、迷わずこの問題集をメインに学習を進めて失敗はありません。

●理系のためのじっくり考えてたくさん解く本格問題集(旺文社・長岡亮介著):T+A+U+B版・V+C版
この教材は題名通り問題数が多く抜群の網羅性を実現した問題集です。難易度についてもやや易〜やや難レベルと揃っており、これほど対象レベルが幅広い問題集も中々無いと思います(第2段階の学習内容も多く含んでおります)。一つ納得できない点があるとすれば本の題名や宣伝文句の件でしょうか(センスの問題ではありません)。この書名や前書きで述べられている事からはいかにも【難問演習書】であるような印象を受けますが、実際には問題の多くは標準的な難度であり、そのため実戦的問題や難問に数多く当たりたいと望んでいる最上位レベルの受験生の場合、その内容に拍子抜けするかもしれません。そう、この問題集は題名に反して敷居が高過ぎないお手頃な問題集なのです。【やさしい理解数学】の逆バージョンといえます。このように言うと批判しているように感じられるかもしれませんが、第3段階のメイン教材としては私はこの教材を高く評価しております。到達点に関しては【やさしい理系数学】と互角ですので、使いやすい方をご選択下さい。

●理系数学入試の核心・標準編(Z会出版)
入試標準レベルをメインに各分野を網羅的に扱った問題集です。レイアウトが綺麗で解説・まとめも見やすく工夫されており、極めて使い易いです。「やさしい理系数学」と同様に第3段階の学習のメイン教材として検討する価値は十分にあります。

●理系数学の良問プラチカTAUB編・VC編(河合出版)
TA・UB編とVC編の二分冊となっています。第3段階のメイン教材の候補の一角ではありますが、TA・UB編は一問一問が比較的軽くこの段階の到達目標に対しては若干不足気味かもしれません。それとは対照的に数VC編はこの学習段階としては若干難しめではありますが、取り組む価値は大いにあります。

●“解説がスバラシク親切な”シリーズ(マセマ・馬場著)
当サイトにおいてはNG本の一つです。解説が親切で理解しやすい事とそれを習得することは全く別次元の話です。これらのシリーズのコンセプトして根本的に誤っている点は、段階別学習法のページで取りあげた事項を用いて説明すると、「第3・4段階のやり方で扱うべき問題を天下り的に理解させようとしている」点にあります。

●理系標準問題集・数学(駿台文庫)
駿台定番の標準問題集シリーズの数学版です。

★実戦問題集(第4段階以降の学習教材)

●新数学演習(東京出版)
実戦演習用教材として本サイトが最もおすすめする問題集です。

●ハイレベル理系数学(河合出版)

やさしい理系数学の“1ランク上”の問題集という名目ではありますが、“やさ理”の学習の延長として使用する問題集ではないので注意が必要です。というのも、この問題集はいわゆる過去に採りあげられることが多かった程度の高い問題、すなわち“有名難問”を主に扱ったものであるからです。
したがって、新作問題を次々と出題する東大理三や京大医学部を志望する受験生にとってはあまり恩恵が得られないかと思います。
この問題集が奨められるのは、高等定石を用いる問題が頻出する単科医科大志望者です。単科医科大を第一志望とする受験生であれば、“第4段階”の学習のメイン本として強力な効果を発揮します。

●整数問題の解法研究(聖文新社・河田直樹編著)
東大京大阪大志望者限定で、かつ整数分野しか失点源が無い人のダメ押し用演習書です。過去30年分の整数問題が全て(?)掲載されている貴重な問題集です。

●お医者さんになろう医学部への数学(駿台文庫・小島敏久著)
※目標偏差値:駿台全国模試で偏差値75
この問題集に掲載されている「50の解法」は解法テクニック・定石の類ではなく、「問題の眺めかた・扱い方」というものです。網羅性はありませんが、相応の実践力は身に付くように構成されているので、中上級問題集として補助的に利用する価値は十分にあります。同様のコンセプトの問題集として「理系数学入試の核心・難関大編」がありますが、こちらは問題レベルがさらに上です。

●数学難問集100(数研出版)
かなり思考力を要する難問を扱っております。

●月刊大学への数学(東京出版)
ハイレベル受験生ご用達の演習書で、既に実践レベルに達している(第4段階以上にある)受験生が数をこなすことを目的に用いるものです。


★分野別補強用ハイレベル教材(主に第5段階で使用)

●マスターオブ整数(東京出版)
整数分野に関してあらゆるパターンを扱っています。この参考書に関しては第3段階から使用することも出来ます。整数問題が頻繁に出題される東大・京大・阪大志望者限定の強化本といえますし、私も受験時使用しましたから間違いなく学習効果の方は保証できますが、たまに東大・京大入試に出現する整数の難問にまでしっかり対応できるようになるかまでは少々疑問です。まあそのような難問は合格者でも完答できるのは少数派ですが・・・。

●微積分基礎の極意(東京出版)
微積分野における定石はもちろん、大数シリーズならではの「高等テクニック」もたくさん扱われており、微積分野の強化演習に極めて有効な一冊です。第4段階から使用できます。
ただし、ここで扱われている「高等テクニック」はあくまで参考程度にとどめておいて、模試や入試本番でむやみに使おうとするのは控えましょう。これらの問題はきちんと「正攻法」で解くことができますし、その正攻法で解くことが何より思考力・実践力アップの原動力となってくれます。したがって、ただの「ハイレベル問題集」として、極端な話ですがひたすら問題を考えながら解き進めていき、解説を見ずに答えの数値確認にとどめるという使い方をしたほうがいいように思います。

●解法の探求・微積分(東京出版)

微積分分野に関し、演習用としての実戦的問題を完全に網羅しているでけでなく、原理について厳密な理論体系を解説したりと超ハイレベルな事項も扱っている上級者専用の教材です。東大理三・京大医志望者および数学で圧倒的優位に立ちたい単科医科大学志望者には最適といえますが、完全に第5段階専用の教材ですので相応の実力を身につけてから取り組むようにしましょう

●解法の探求・確率(東京出版)
確率分野に関し、めざましい解法がたくさん掲載されております。私はいわゆる「高等テクニック」については汎用性の観点から完全否定派ですが、場合の数・確率分野だけは話が別です。受験数学の中で場合の数・確率だけは極めて特別な位置づけの分野で、ある大学での出題された難題を解くための「高等テクニック」が、以降「一般的な定石」として定着して他大学や模試で頻出するような経緯が繰り返されています。したがって「こんな高等テクニックは知らない」という言い訳は場合の数・確率分野に限っては通用しません。
意欲的に各手法を吸収していきましょう。また生半可な実力ではこの教材はこなせません。第5段階専用の教材と言えますので相応の実力がついてから取り組みましょう

●数学ショートプログラム(東京出版)
数学TA〜UBまでの範囲に絞ってはありますが、十分すぎるほどのめざましい解法がたくさん掲載されており、とても勉強になり、かつ学力アップに直接役立ちます。ここで掲載されている定石の多くは、いわゆる「高等テクニック」というよりは問題を「別の切り口から眺める」方法であり、極めて汎用性があります。